美学の大切さを描く漫画、『あしたのジョー』

 昔よりも現代の漫画は技術が進化していますよね。デジタルで描いたり、コマ割りなどもパターンが増えたり、色々な型が誕生したと思います。しかし、昭和時代の古い漫画でも面白い漫画はたくさんありますあしたのジョーという作品を読んだ時ありますか?今回はそんな格闘技漫画あしたのジョーを紹介します。まず、ざっくりとあらすじを説明してから、感想に入りますね。

 

 

 

 それでは、行きましょう。

 

あらすじ

 

  60年代後半から70年代前半まであしたのジョー』は週刊少年マガジンで連載されました。世代ではないですが、当時はとてつもなく人気だったらしいです。あの三島由紀夫も愛読していたそうです。ざっくり説明すると、スラム街の貧相なボクシングジムで、叩き上げのプロボクサーである矢吹ジョーがあらゆる相手と拳を交える物語です。

 矢吹ジョー

 プロボクサーになる前の矢吹ジョーは相当な不良であり少年犯罪者でした。怒ったら、すぐに暴行を加えようとする性格。窃盗、器物破損、ついには大きな詐欺なんかにも走っています。狂気さがあふれ出ていますね。初期の頃は、社会の問題児として登場していました。

 

丹下段平

 そんな問題児、矢吹ジョーはある男にプロボクシングの世界に誘われます。それが元プロボクサーであり、元ボクシングジムの元会長でもあった、アル中おじさん丹下段平です。矢吹と出会った時の丹下段平は、ボクサーのかけらも見えないどうしよもない人間でした。それでも矢吹を拳闘の世界に誘った理由は、腕の良い矢吹を世界チャンピオンに育て上げたいという願望、落ちるとこまで落ちて、馬鹿にしていた人を見返したい反骨精神、金持ちへの憧れ、そんな夢を胸の内側に持ち続けていたからです。そして矢吹をプロの世界に呼びかけました。

 

力石徹 

この漫画には、魅力的なキャラクターがたくさんいます。その中でも主人公に負けないぐらい人気だった男、プロボクサー力石徹矢吹が少年院でくすぶっている時に、登場した力石徹。ある事をきっかけに、矢吹とは水と油の関係性になりました。顔を合わせれば、すぐに喧嘩の日々でしたね。それから時間が流れて、矢吹とプロのリングで戦うことになります。 少年院に入る前は、13連続ko成し遂げていたウェルター級のチャンピオンでした。しかし、観客の野次に耐えられず、暴行を加えてしまいます。そして少年犯罪者に成り下がりました。もったいないですね。頑張って耐えていれば、チャンピオンになれたかもしれないのに。そして、少年院で矢吹と出会うことになります。

 

矢吹と力石の因縁

 ある日、少年院のイベント、ボクシング大会で矢吹と拳を交えることになりました。結果はなんと引き分け。両者のストレートパンチが同じタイミングで当たり、互いにノックダウンを喫しました。この時の絵の迫力は、現代では描けない力強さを感じましたね。結果はドローでしたが、力石はこじらせました。矢吹にダウンさせられた事が不満だったからです。矢吹も同様でした。その不満を晴らすために、プロのリングで戦う約束をします。ここから矢吹と力石に因縁が生まれました。やがて、この2人は決着を果たすようになります。もちろんプロのリングで拳を交えました。結果は、読んでからのお楽しみです。僕は感銘さえ覚えたエピソードでしたね。

 

あしたのジョー』の魅力

あしたのジョー』という作品は、他の漫画と一味違います。どんな社会の底辺の人間になっても、諦めなければ栄光を掴める、サクセスストーリーとは言い切れないからです。また、ただのボクシング漫画でもありません。美学を守り通す事のかっこよさ、それがあしたのジョー』の真骨頂です。矢吹は、ボクシングで勝利するよりも、己の美学を守る事に価値を見出していました。ただボクシングで相手に勝利して、成功する事に価値を見出していないのです。美学を貫く事、それがなによりも大切であり、生きる意味である思っていたのです。皆さんは、こう思いませんか、仕事や学校でうまくいかなくて、どうしても落ち込んでしまったり自己嫌悪に陥ったりしてしまう事。それは当たり前の心境です。どんなにストレスの耐性が強くても、どんなに気にしないように意識をしていても、辛い気持ちからは避けられませんよね。誰もが陥る可能性のある状態です。しかし、自分の中で決めたルールを守る事に重点を置いてみてください。そうすると辛い気持ちをごまかせるかもしれませんか。成功よりも、美学に価値を見出せば、人生を有意義に過ごせると思うのです。それができなければ、毎日、落ち込んだままですよね、自分自身さえ負けているという意識を持ってしまったら、本当の失敗だと思いますよ。結果よりも美学を守る事が大切なのです。ボクシングの試合で負けたとしても、自分自身に打ち勝てば、かっこいいから。そんなキャッチアンドリリースの精神を拳で語ってくれたのが矢吹ジョーという漢なのです。

 

 今回は、『あしたのジョー』を紹介しました。 ブックオフの本棚にあると思うので、暇な時は立ち読みしてみてくださいね。また他の記事もよかったら見てください。主に格闘技について書き込んでいます。 

 

 今日の一言

あしたのジョーとは、人間の美学である。

 

 それでは、また!